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322.トピック=主幹教諭の配置と主任制度の在り方の見直し [8.トピック]

 文部科学省の「教師力・学校力7か年戦略」を見ていくと、「メリハリある教員給与」とは別の項目にも教員給与の見直しに関わる内容が出てくる。それは、「学校の組織運営の改善」の項目に含まれている。抜粋しておく。

3.学校の組織運営の改善
① 全小中学校への主幹教諭の配置
  ○ 全ての小中学校への主幹教諭の計画的な配置を促進
     所要額 各校1名 20億円  各校2名 44億円
② 主任制度の在り方の見直し
  ○ 主幹教諭の配置状況、実態を見据えつつ、手当廃止を含め支給の在り方を検討
③~⑥ (略)

 「主幹教諭の全校配置」についても、自民党の教育再生実行本部第二次提言(新人材確保法の制定部会)に盛り込まれている。

3.「チーム学校」の実現、外部人材30万人の活用
(略)
 ○ 全ての学校への主幹教諭の設置等により、学校を鍋蓋型組織から重層的組織へ転換することで、副校長・教頭が管理職として職務を果たせるようにするとともに、校長を中心とした組織的な学校運営体制を構築し、組織力の向上を図る

 この提言には、「主任手当の廃止」は含まれていないのだが、提言に至る前に公表された教育再生実行本部の中間取りまとめの中で言及されている。

 教育委員会制度改革分科会(座長:義家弘介)
(2) 適切な教育内容を確保するための改革(『学校教育法』の改正)
① 任意設置となっている主幹教諭を『必置』とする。また、それに伴い、一部の地域で教職員組合に流用されている主任手当、及び主任制度を廃止する。
②~③ (略)

 文部科学省の資料によれば、主幹教諭については、平成24年4月現在、全国67都道府県・指定都市中、55団体で設置され、18,631人が任命されている。このうち、突出して数が多いのは、東京神奈川、兵庫など、一部の団体にとどまっている。
 平成23年度の学校基本調査速報による団体別の資料から抜粋する。配置率をイメージするため、校長の人数も掲載する。

<主幹教諭数>
       主幹教諭数a 校長数b  a/b
 東京都    5,067人  2,186人  2.9
 神奈川県   3,279人    679人  4.8
 兵庫県    1,766人   1,061人  1.7
 川崎市     761人    172人  4.4
 横浜市    1,915人   488人  3.9
 相模原市    452人   109人  4.1
 神戸市     510人   263人  1.9
 7団体計  13,750人  4,958人  2.8
 その他計  3,991人  24,092人  0.2
 未設置計     -人  5,809人  -
 全国合計  17,741人  34,859人  0.5

 上記の7団体は、主幹教諭数が校長数より多いところである。24年度は23年度より主幹教諭の人数が増加しているとはいえ、それ以外の設置団体の平均の設置率は、校長数に対して2割にも満たない数である。学校教育法の改正により、平成20年4月に鳴り物入りで設けられたが、東京、神奈川、兵庫を除けば、全校配置にはほど遠いのが実態だ。文部科学省の7か年戦略では、1名及び2名の所要額を示してはいるが、現行の主任手当の支給対象となる法定主任は、小学校が教務主任及び学年主任、中学校は教務主任、学年主任、生徒指導主事及び進路指導主事であることからすると、現行の主任をすべてが主幹教諭に置き換わるとは、にわかに想像できない。東京都では、主幹教諭の希望者が少ないという話も聞く。主任制度であれば、不適格者を主任から外しても降格には当たらないが、主幹教諭制度の場合は、不適格者を主幹教諭から外すには降格しなければならず、人事運営の硬直化を招きかねないリスクもある。
 去る7月3日の毎日新聞では、教育困難校の校長や部活動顧問ら負担が大きい教員に対し、文部科学省が手当増額の検討を始めたことを伝えている。その記事では、「増額する手当の原資の一部は他の手当を削減して捻出。教務主任や教科主任の手当は廃止も含めて見直し、仕事の役割は校長や副校長を補佐する主幹教諭に引き継いでいく。」としているのだが、現行の主任手当支給対象である主任のうちの一部についてのみ主幹教諭に置き換わるのであれば、つまり、当面は、主任と主幹教諭が併存せざるを得ないとすれば、主任手当を直ちに廃止することはできず、当分の間、存続させることになるだろう。一方、特2級を設けることで主幹教諭に対するしっかりとした処遇を実現するためには、大半の府県で採用されている目減りさせた昇格加算額ではなく、行政職俸給表の昇格加算額との均衡を確保しうる本来的な昇格加算額を採用するのが筋ではないかと思う。

321.トピック=メリハリある教員給与の復活(その2) [8.トピック]

 さて、文部科学省の「教師力・学校力7か年戦略」の「メリハリある教員給与」についてだが、そのメニューをもう少し詳しく掲載してみよう。

2.メリハリある教員給与
 ※既存の予算の範囲内で対応 ※27年度以降の所要財源については、既存予算の見直しを引き続き検討
①管理職手当の改善
 H26年度~ 現行の国基準の最高17.5%に加え、指導的役割を担う校長については20%へ引き上げ
管理職手当の支給基準が国庫負担算定基準に達していない都道府県に引き上げを促す。
②部活動指導手当等の増額 所要額52億円(H26 13億円)
 部活動手当等について4か年で倍増
  ・部活動指導手当 2,400円→4,800円
  ・対外運動競技等引率指導手当 3,400円→6,800円
③給料の調整額の引き下げ 影響額△13億円
 平成26年度~ 今後の特別支援教育に対する教職員体制の在り方や自治体の取り組み状況を踏まえ、特別支援担当教員のみ支給される給料の調整額を20%減
④休職者等に対する教職調整額の在り方
 休職者等に係る教職調整額の支給の在り方について検討
検討結果を踏まえ、取組を推進
⑤教員評価結果の処遇への反映促進
 評価結果の処遇への適正な反映を通じて真に頑張る者が報われ、教職員の資質向上に資するよう教員評価の改善・充実の促進

 自民党の教育再生実行本部第二次提言(平成25年5月23日)に新人材確保法の制定部会の提言が盛り込まれている。「『新たな人材確保のための法律』を制定。義務教育費国庫負担金は、国が全額(100%)負担」と勇ましい限りの提言である。
 メリハリある教員給与に関わる部分を抜粋する。

○ 校長などの管理職手当の大幅な増、部活動手当の倍増を目指し改善、教育委員会が求める社会貢献活動を行う者への処遇・評価、教師評価結果を昇給や勤勉手当等へ的確に反映
(管理職手当:現状では校長は国基準で最高17.5%。メリハリをつけ、リーダー的役割を果たす校長や困難校で頑張る校長は20%程度に増。副校長、教頭もメリハリをつけ改善。)
(部活動手当:2,400円から4,800円に倍増。)

 こうしてみると、文部科学省「7か年戦略」のメリハリある教員給与の項目のうち、①管理職手当の改善と②部活動指導手当等の増額、⑤教員評価結果の処遇への反映促進は、自民党の教育再生実行本部第二次提言の内容を盛り込んだものであることは明らかである。③給料の調整額の引き下げは、②部活動指導手当等の増額を直ちに実行するための財源に充てられている。
 給料の調整額については、従前、調整数「2」の水準で国庫負担金が算定されていたものを、教員給与の見直し後は、「1.25」の水準で算定されている。それを更に20%減にしようというものだが、これは調整数で言えば「1」に相当する。教員給与の見直しが進められていた当時の文部科学省の考えは、調整数「1」の水準まで段階的に引き下げようというものであったから、前回の議論で「折り込み済み」という感覚なのだろう。
 ④休職者等に対する教職調整額の在り方については、「319.トピック=教職調整額見直しへ」で言及したように、管理職手当など他の手当のメリハリの原資としたいようである。

320.トピック=メリハリある教員給与の復活(その1) [8.トピック]

 文部科学省は、平成26年度概算要求説明資料として、「世界トップレベルの学力・規範意識をはぐくむための教師力・学校力7か年戦略」を公表し、今後7年間(H26~32年度)で計画的に実現していくためのあるべき姿としての工程を明示した。
 全体像を概観するために、項目のみ次に掲載する。

Ⅰ.教職員等指導体制の整備 改善総数(7か年)33,500人
 1.少人数教育(少人数学級・少人数指導)の推進
 2.個別教育課題への対応
  ①小学校理科教育の充実(専科教育)、②小学校英語教科化への対応、③道徳の新たな枠組みによる教科化への対応、④いじめ問題への対応、⑤特別支援教育の充実、⑥食育の充実
 3.学校力の向上
  ①主幹教諭の配置促進、②初任者研修の抜本的改革、③学校統合の支援、④複式学級の解消等、⑤免許外教科担任の解消、⑥事務機能の強化
 4.退職者や地域の外部人材の活用
 [ 教職員配置の合理化等 ]
Ⅱ.教職員の人事管理等の在り方
 1.教員の資質向上方策
  ①初任者研修の抜本的改善、②教員への社会人経験者の登用の推進、③「教師塾」の取組の推進、④学校管理職の養成、⑤研修体制の整備・充実
 2.メリハリある教員給与 ※既存の予算の範囲内で対応 
  ①管理職手当の改善、②部活動指導手当等の増額、③給料の調整額の引き下げ、④休職者等に対する教職調整額の在り方、⑤教員評価結果の処遇への反映促進
 3.学校の組織運営の改善
  ①全小中学校への主幹教諭の配置、②主任制度の相方の見直し、③教員の公募人事の推進、④学校裁量予算の拡大、⑤学校の業務運営の見直し、⑥弁護士や警察官OB等による支援体制の構築
 4.厳格な人事管理
  ①新任教師の適性の確保、②病休・復職を繰り返す教員に対する人事管理の改善、③指導力不足教員に対する厳格な人事管理の徹底
 5.雇用と年金接続への対応
   再任用教職員の増加への対応
 [ 設置者への権限移譲の在り方 ]
  (政令市への県費負担教職員の給与負担の移管、中核市への任命権等の移譲)

 この7か年戦略は、おそらく自由民主党の教育再生実行本部の提言や、政府に設けられた教育再生実行会議の提言、さらには文部科学省がかねて懸案と考えていた課題を盛り込んだものであろうと思う。今後、財務省との折衝などが進むだろうし、最後はどのような姿になっていくのか分からないのだが、この学習ノートが注目するのは、もちろん「メリハリある教員給与」の部分である。民主党政権の誕生によって有耶無耶になった感のあった教員給与の見直しが、自民党政権の復活によって、再び取り上げられ、推進されようとしている。

319.トピック=教職調整額見直しへ [8.トピック]

 9月13日付けの『内外教育』に、「教職調整額見直しへ」と題した記事が掲載された。それによれば、「文部科学省は、公立学校の教員給与のうち民間の時間外勤務手当に相当する『教職調整額』について、休職者への支給停止を視野に制度を見直す方向で検討に入った。」という。「教職調整額は休職者を含めて一律支給されているが、支給停止に伴い財源が捻出できれば、他の管理職手当などに振り分けて給与にめりはりをつけることも可能になる。」との考えらしい。
 教職調整額の見直しについては、「制度と実態との乖離が進んできている」との問題意識の下、中教審の教職員給与の在り方に関するワーキンググループにおいて様々な観点から議論され、その結果を踏まえて、平成19年3月の中教審答申に盛り込まれたのだが、そこでの結論は「今後更に専門的・技術的な検討を行っていくことが必要である。」というものであった。
 その後、中教審の初等中等教育分科会に「学校・教職員の在り方及び教職調整額の見直し等に関する作業部会」が設置され、教職調整額の時間外勤務手当化を目論んで、平成20年11月から審議が行われ、平成21年3月頃には中間報告のとりまとめを行う予定になっていた。ところが、同年5月25日に第10会の部会が開催され、議事録では「次回以降、また改めてご連絡をさしあげます。」となっているものの、その後開催された記録はない。
 民主党政権下では具体的な検討の動きは一切見えてこなかったことから、この問題はもう立ち消えになったのかと思っていたのだが、政権交代となり、環境が変わったためか、今回、文部科学省の平成26年度概算要求の中で、「休職者等に対する教職調整額の在り方」として突如復活してきた観がある。今後、改めて検討の上、その「検討結果を踏まえて、取組を推進する」とのことらしい。

 同日付けの『内外教育』では、文部科学省の幹部の話として、「働いていない人に対して時間外勤務手当が支払われるのは、国民の理解が得られないとの批判がある。」と伝えている。更に、9月17日付けの『内外教育』でも、「『休んでも残業手当』を見直しへ」と題した記事を掲載し、文部科学省の幹部の一人が、「休んでいる人に、残業見合いのお金が出ているのはおかしいでしょう。」と話していることを伝えている。 
 教職調整額が時間外勤務手当の一括払いであるならば、そのような理解でかまわないのだが、この学習ノートで何度も言及してきたとおり、「教職調整額は超過勤務手当の一律支給という性格の給与ではない。」(宮地茂監修『教育職員の給与特別措置法解説』(第一法規、昭和46年))のである。制度創設時の人事院総裁の国会答弁によれば、「勤務時間の内外を問わず再評価いたしました結果は、前の文部省案のように勤務時間をはみ出た分について包括的ないわゆる超勤の包括支払いというような意味の四%では筋が通らない。勤務時間の内外を通じてのその職務の再評価をして、これは単なるつけたりの手当じゃなしに、本俸そのものを引き上げると、四%の調整額というのがそこにあるわけです。…これは先生方の職務の評価をした場合においては正しい評価である…」(昭和46年5月18日の参議院文教委員会における佐藤人事院総裁の答弁)というものであるはずである。すなわち、俸給月額に教職調整額を加算した額をもって、教員の本俸とするという理解なのである。そうすると、先の文部科学省の幹部が示した認識というものは、給与特別措置法によって制度化された内容とは根本的に異なると言わざるを得ないのではないか。文部科学省の幹部から「教職調整額は残業手当見合い。」との認識を示されること自体、信じられない思いだ。まるで、財務省の役人であるかのような発言ではないか。

 ところで、教職調整額の支給は、労働法制上、労基法第37条の適用除外とセットになっているはずであるから、単なる時間外勤務手当の一括払いという認識で議論することはできないのではないかと思う。「休職中に限定すれば、その期間中に超過勤務はあり得ないのだから…」というのは、感情論としては分からないでもない。しかし、余りに杜撰な議論をすると、法改正を伴う内容であるだけに、内閣法制局辺りから厳しく指摘されることになるのではないだろうか…。
 いずれにしても、今後の検討における議論の行方を注目していくこととしよう。

318.総合的見直しの方向(その4) [39.総合的見直し]

 その次に注目したいのは、「職務や勤務実績に応じた給与」のうち、「人事評価の適切な実施と給与への反映」の次の記述である。

 また、現行の昇給制度においては、例えば、特に優秀な者の昇給の効果が標準者の2倍以上と大きく、結果としてチームで職務を遂行する環境に必ずしもなじまない面もあるのではないかと考えられる。本院としては、長期で見た昇給効果や俸給表の号俸間の給与水準の差などとの関係について検証を行いながら、昇給の効果の在り方等について検討を行うこととしたい。

 この文章を素直に読めば、「特に優秀な者の昇給の効果を小さくできるようにする、あるいは、よりきめ細やかに勤務実績を反映できるようにする方向で検討する」というふうに理解できるのではないか。

 元々、俸給表の構造は、職務の段階や昇進の運用、給与処遇の思想、実際の運用と密接に関連するものであろう。基本となる俸給制度については、標準者の昇給カーブをモデルとして構想すると考えられる。沿革的経緯からして、職員として1年間良好に勤務した場合の昇給号俸数を4号俸として俸給表を作成していることは、俸給表改定の都度、この学習ノートでも考察してきた。給与構造改革により号俸が分割される前は、1年間良好勤務で1号給の昇給であった。従前の特別昇給については、昇給期間の短縮もありうるのだが、基本は、特に良好な場合には2号給の昇給、すなわち、良好勤務の者の2倍の効果が与えられるものとして設計されていた。給与構造改革では、従前の特別昇給が持ち回り的になりがちであったことから、号俸を4分割し、勤務実績をより反映しやすくしたのであった。
 今回の人事院の報告は、給与構造改革時に示した査定昇給制度の見直しに言及しているのだが、よりきめ細やかに勤務実績を反映するため、給与構造改革により細分化された号俸構成の特性を最大限生かして、現在の「A(極めて良好)=8号俸、B(特に良好)=6号俸、C(良好)=4号俸、D=2号俸(やや良好でない)、E=0号俸(良好でない)」という基準を弾力化し、7号俸や5号俸も可能とするような見直しを考えているのだろうか。
 いずれにしても、この「人事評価の適切な実施と給与への反映」に関わる見直しそのものは俸給表の構造には直接影響を与えることはないのかもしれないが、「長期で見た昇給効果や俸給表の号俸間の給与水準の差などとの関係について検証を行いながら」と述べているように、総合的見直しによる見直し後の給与カーブの実際の姿も大きなファクターとして、検討に影響を与えそうな気がしている。

317.総合的見直しの方向(その3) [39.総合的見直し]

 次に気になるのは、「組織形態の変化への対応」である。
 人事院は、「近年の民間企業の状況を見ると、組織のフラット化等により、職制が簡略化され、例えば部次長や課長代理の置かれていない事業所も見受けられる」ことから、「こうした状況に対応するため、前述の定義に該当しない従業員の給与状況を幅広く把握する方策について」検討を行ったと言う。
 部長と課長の間に位置づけられる従業員(部次長)、課長と係長の間に位置づけられる従業員(課長代理)、係長と係員との間に位置づけられる従業員(主任)については、民間給与実態調査の結果を見れば、調査実人員が相対的に見て少ない状況になっている。人事院が、基幹となる役職段階が置かれている事業所においてこれらの従業員を来年から官民の給与比較の対象にするということなのだが、まず、国家公務員の給与水準の引上げに繋がるとは思えない。おそらく、給与水準の引下げ方向に効果が出ることになるのではないだろうか。
 この間の人事院による官民比較の精緻な議論は、すべて給与水準の引上げには繋がっていかなかったように思う。それだけ、国の財政状況が厳しく、人件費の圧縮への(無言の)圧力が強いということだろうか。

 ただ、このことが俸給表の構造面にどのように影響を与えるのかは分からない。しかし、「地域間の給与配分の在り方」を検討するにしても、「世代間の給与配分の在り方」を検討するにしても、50歳台を中心に給与水準の引下げ、少なくとも若手・中堅に対する相対的な引下げをもたらすことは、間違いないだろう。

316.総合的見直しの方向(その2) [39.総合的見直し]

 人事院の平成25年給与報告における「給与制度の総合的見直し」で次に注目するのは、「世代間の給与配分の在り方」の記述である。

 給与構造改革の経過措置が廃止された後も、50歳台後半層の官民の給与差がなお相当程度残ることが想定されることについては、昨年の勧告でも触れられていた内容である。
 また、雇用年金の接続が課題となる中で、民間で50歳台従業員の給与も含めた見直しの必要性に関する議論が見られることも指摘している。(NTTグループが、社員を65歳まで継続雇用するために、現役世代である40~50歳台の賃金を抑制する制度を2013年秋から導入することで労使合意した、との報道を思い出す。)
 その上で、「世代間の給与配分を更に適正化する観点から、民間賃金の動向も踏まえ、(2)の地域間の給与配分の見直しと併せて、給与カーブの見直しに向けた必要な措置について早急に検討を進めること」を表明し、「その際、若年層の水準を確保しつつ、50歳台、特に後半層の水準の在り方を中心に、俸給表構造の見直しを検討することとする。」としている。

 60歳までの年功的給与カーブを見直すことについては、人事院が設けた「公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会」が平成21年7月に報告した「公務員の高齢期の雇用問題について(最終報告)」において、既に方向性が示されている。該当部分を抜粋しておく。

(2) 60歳までの給与水準・給与体系の在り方
 定年延長を前提とした給与体系を考えた場合、本来、60歳前後を通じて給与カーブの連続性が確保されるべきである。これまで給与構造改革を通じて年功的な給与カーブの見直しを進めてきているが、65歳までの定年延長に当たっては、60歳までの給与カーブの在り方や昇給制度の在り方について、年功的上昇を抑制する方向で見直しを検討することが適当である。
 一方、現在は、民間準拠の枠組みの下、定年前の職員の給与はラスパイレス比較により官民均衡を図り、その配分として職員のライフステージに応じた形で水準が設定されている。こうした民間準拠の考え方や職員の実際の生活への影響等にかんがみれば、単に定年延長を理由に60歳までの給与の大幅な引き下げを論じることは難しい。このため、当面は、65歳までの勤務を前提とし、昇格ペースを遅らせたり、昇給の見直しを行うことにより60歳までの年功的な給与カーブを見直すことが現実的であり、その結果、同じ職務の級に該当しながら、60歳前後で年間給与の差が生じることもやむを得ないと考える。

 この研究会で示された当面の対策については、平成23年の人事院勧告で「昇格・昇給制度の見直し」として報告及び勧告され、既に改正されている。人事院は、今後、この研究会では大幅なものは「難しい」としていた60歳までの給与水準を引下げる方向での給与構造の見直しに着手しようとしていると思われる。

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