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453. 給特法下の教員の労働時間管理の特徴と問題 [8.トピック]

 『季刊教育法』(第192号)(2107.3.25発行、エイデル研究所)の特集は、「ブラック部活」その2である。
 表紙の説明では、「「部活動改革元年」であった2016年。ようやく改革の「兆し」は見えるが、それは「かけ声」だけなのか-。今号は「その1」に引き続き、部活動における教職員、加えて児童・生徒の実態に迫る。反響を呼んだ「ブラック部活」第2弾!」としている。
 特集の冒頭は、「まだまだ黙っていられない!「ブラック部活」の実態2」と題した座談会なのだが、このノートで注目するのは、小川正人教授執筆の「教員の長時間労働と給特法―給特法の問題点と改廃の課題―」である。小川正人教授は、かつて中教審・教職員給与の在り方に関するワーキンググループの副主査を務めた方であり、給特法の問題点を深く理解している人物の一人といってよいと思う。

 小川教授は、「給特法下の教員の労働時間管理の特徴と問題」とする項で、3つの視点から整理し、指摘する。概略を記す。
 第1:個々の教員に正規の勤務時間の割振りを適正に行い、時間外労働が生じないようにすることになっているが、実際にはそうした割振りでは対処できないほどの時間外労働が生じているのが実態。それらの時間外労働の多くが管理者の「指揮監督下」にある労働時間ではなく、教員の任意の自発的行為であるとされて長時間の時間外労働を抑制できるように機能するものにはなっていない。
 第2:歯止めとして、時間が労働を命じることのできる業務を四項目に限定し、その四項目についても時間外労働を命じることができるのは「臨時又は緊急のやむを得ない必要があるとき」と規定。そうした規定にもかかわらず時間外労働の上限が定められておらず、無定量の労働義務を課されている点で労働時間制と相容れないという重大な欠陥がある。また、教職調整額は労働時間制や時間外勤務手当の趣旨から外れた特異な制度であり、憲法27条の規定に照らして問題。
 第3:本来、長時間労働のブレーキの役割を果たすことが期待される時間外勤務手当が、給特法下では、教職の「特殊性」を理由に長時間労働の抑制機能を有していない一律支給の教職調整額に取って代わられ労働時間管理を適正に行うという意識を希薄化させていることは否めない。

 次に、萬井隆令(龍谷大学名誉教授)による給特法がらみの判例の3類型、①「調整」推定説、②「労働」性否定説、③超勤手当一切不要説を簡単に説明した後、近年の判例の主流でアル「労働」性否定説の論理とその問題について、2007年9月27日の札幌高裁判決を概観することで確認している。ポイント部分を抜粋する。
 「判決では、先ず、給特法の趣旨を確認する作業を行い、教員の職務は「本来的に教育職員の自発性、創造性に期待するところが大きいという面で、いわゆるプロフェッションの一員として、一般的な職業とは異なった特質を持つ」ことが強調され、その上で、教員の勤務(形態)の特殊性から労基法37条の適用を排除して勤務時間の内外を問わず包括的に評価する教職調整額が支給されているとその正当性を確認している。そのため、教員が正規の勤務時間を超えて勤務した場合でも、時間外勤務手当は支給されないと解するのが相当である、と結論づけている。」

 「しかし、あらゆる時間外勤務が時間外勤務手当支給の対象にならないと断じている訳ではなく、時間外勤務に至った事情、職務内容、勤務の実情等では手当支給の対象になる場合もあるという考え方も示している。その点について、判決は、校長等の具体的な職務命令があった場合や、無くてもそれと同じように教員の自由意志を強く拘束するような状況の下で時間外勤務が行われ常態化しているような場合で、しかも安全配慮も十分なされていない場合には時間外勤務手当支給は認められるべきであるとしている。」

 「判決では、時間外勤務が校長の職務命令かもしくは職務命令と同視できるほど教員の自由意志を強く拘束するような形態で行われたのであれば時間外勤務手当の対象になるが、当該の業務は教員の自発的意志で行われたもので時間外勤務手当支給の対象にならないと判断している。教員が担当する校務分掌や部活動、年間教育計画等の多くは確かに限定四項目に含まれるものではないが、学校と教員の業務といえるものであり、それを欠いては学校の教育活動や経営が成り立たない重要な業務である。それにもかかわらず、それら業務を受けるが受けないか、遂行するかしないかは学校長の指示ではなく個々の教員の自由意志による示達的行為であるとして「労働」性を否定している。」

 萬井が給特法下の時間外勤務手当請求事件判決で示された「労働」認識は他の民間企業の就業問題を扱った労働裁判判例のそれとの断絶が大きすぎると批判していることについて判例を引いて紹介した後、次のように述べる。
 「教員の職務・勤務時間の殆どが、学校の教育活動や経営を構成する業務内容について学校長(副校長、教頭)が自らの責任・権限の下で各教員に割振りしているものであり、個々の教員の自由意志による自発的行為によるものであるとはいえない。学校長(副校長、教頭)の責任・権限の下で割振りされた業務である以上、その業務を個々の教員が創造的・自発的に遂行するか否かにかかわらず、その業務遂行は学校長の指揮命令下にある「労働」であることは明白である。」

 小川教授は、「教員の時間外労働の改善に向けて」と題する最後の説で次のように述べる。

 「以上見てきたように、給特法は、教員の長時間の時間外労働を抑制する機能を有していない。今日、大きな問題となっている部活動についても、学校長が学校の教育活動の一環として教員に部活動顧問を割振りしているにもかかわらず、時間外勤務を命じることができる「限定四項目」に該当する業務でないため、正規の「労働時間」とは認知されず、教員の任意の自発的行為と見做されている。」

 小川教授はこのような見解を示されるが、そもそも給特法は、教員の長時間の時間外労働を抑制する目的をもって制定されたものではない。教員に対しては超過勤務手当を支給しないとう運用を行ってきたことに対して超過勤務手当の支給を求める訴訟が多数提起され、超過勤務手当の支給を容認する判決が続出する中、いわば超過勤務手当の肩代わりをする教職調整額を支給することでもって立法的解決を図ろうとしたのが主たる目的であった。確かに、超過勤務を命じないことを原則とし、限定4項目を制度として設けたのではあるが、罰則規定を設けなかった時点で歯止めにならないことは必然ではなかったか。
 この点に関して、超過勤務手当の支給は長時間労働を抑制する一定のインセンティブはあるのかもしれないのだが、一方、罰則を設けず割増賃金制度のみのアメリカは、欧州各国より年間の勤務時間が長かったのではなかったか。また、現在の我が国の民間企業や中央省庁の長時間労働の実態をどう理解すべきなのか。教員の時間外労働は、OECDの調査に基づけば更に厳しい実態なのではあるが、割増賃金制度の存在だけでは抑制効果が小さいだろう。

 続いて、小川教授は、部活動について学習指導要領における取扱いや国賠法の適用関係を述べた上で、「そうした部活動の顧問である教員の業務は、教員個々による任意の自発的行為であるとするのはあまりにも無理のある説明である。事実、そうした乖離を埋めるために部活動手当という特殊勤務手当が支給されてはいるが、それはそうした乖離を誤魔化すための弥縫策ともいえ事実上の時間外勤務手当というべきものである。」と主張されている。
 そのように理解され主張される気持ちは分かる気はする。しかし、もし、給特法が前提とする教員の職務と勤務態様の特殊性の理解に正当性があり、給与水準として現在適当かどうかは横に置いて教職調整額という本俸的給与で措置するという手法もありだとするならば、学校の管理下において、すなわち学校が責任を取る体制の下に(国賠法が適用される形態でもって)行われる部活動の指導業務は、校長が命じて行わせようが、教員個々による任意の自発的行為として行われると考えることにしようが、従事した以上は教員が自らの職務を遂行した、すなわち、勤務したと評価すべきものだと考える。その上で、給与問題としては、部活動指導業務に従事した教員に対する処遇はどうあるべきか、手当の水準をどのように設定すべきなのかを考えればよいのではないか。一方、そうした部活動指導業務が過度にわたり、健康被害が生じることのないように歯止めかけるには、そしてその歯止めの実効性を確保するにはどうすればよいのかを給与問題とは別に考えるべきではないのか。

 小川教授は、「給特法のロジックと学校現場における教員の業務実態の間には大きな断裂が存在しており、その断裂が教員の長時間の時間外労働を生み出している原因となっている。」と主張される。
 小川教授が指摘されるとおり、「大きな断裂が存在」しているのだろう。しかし、「その断裂が教員の長時間の時間外労働を生み出している原因となっている」という認識は全面的には支持できない。むしろ、その大きな断裂を生み出した根本原因、すなわち教員に担わされている増大しつづける膨大な業務量、にもかかわらず「子どものため」として自ら進んで、あるいは暗黙の圧力のような文化の中で、我が身を削ってまで業務に従事する、あるいはせざるを得ない労働慣行、それを容認し、あるいは教員であれば当然であるかのごとく求める我が国の国民文化、それを支持する日本的雇用慣行と日本人の共同意識ともいうべきものが、教員の長時間の時間外労働を生み出している根本原因なのだと理解すべきではないのだろうか。

 「その断裂を埋める有効な手立てが提案できないのであれば、給特法を廃止して労基法の原則と仕組みの下で教員の労働時間管理の適正化を図っていく方が有益である。」と小川教授は続ける。
そして、時間外勤務手当支給に移行する場合の懸念や心配を述べるのである。「…、あるいは、教育活動の質にどのような影響を及ぼすのかなどの検証も不可欠となるであろうことは付しておきたい。」と結んでいる。

 私立学校や国立学校においては既に超過勤務手当制度の下にある。その実態を調査し、小川教授の懸念や心配に応えられるような検証を文部科学省は実施すべきだと思う。しかし、文部科学省は手を出さないのだろうな…。その後、どうするの、と問われるから…。
 しかし、教員の勤務の在り方や教員の勤務時間管理・時間外労働規制の在り方は、教育の在り方そのものの問題に帰着する側面がある。難しい問題だと思う。
 ただ、ハッキリしていることは、超過勤務手当制度への移行だけではだめだろうということである。一つは、物理的な上限規制がなければダメということ。二つは、上限規制を担保する仕組みを公務員にも導入しないとダメということ。
 しかしである。一方で、教員一人当たりの業務量を人間らしく働き生活できる量に減らすためのあらゆる対策の実行が一番大切なのではないか。


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452. 中学教諭の6割、過労死ライン [8.トピック]

 4月28日、文部科学省は小中学校教員の長時間勤務が悪化している現状を示す調査結果を公表し、各紙が大々的に報道した。
 例えば、読売新聞「YOMIURI ONLINE」から。

中学教諭の6割、過労死ライン…勤務11時間超
 文部科学省は28日、公立小中学校の教員を対象にした2016年度の勤務実態の調査結果を発表した。
 教諭の平日の勤務時間は、06年度の前回調査より30~40分長い11時間以上となり、小学校教諭の34%、中学校教諭の58%が、厚生労働省の「過労死ライン」に該当した。中学では教諭が土日の部活動にかける時間が倍増した。松野文科相は同日の閣議後記者会見で「看過できない大変深刻な事態」とし、文科相の諮問機関の中央教育審議会で「教員の働き方改革」の方策を議論してもらう考えを明らかにした。
 調査は昨年10~11月、全国の公立小中学校の校長、副校長・教頭、教諭ら約2万人から連続7日間の勤務状況を聞いた。
 平日の平均勤務時間は、小学教諭が前回より43分長い11時間15分、中学教諭は32分長い11時間32分だった。
(2017年04月28日 11時40分)

 その他の各紙の大見出しを拾ってみる。
 共同通信=「中学校教諭57%過労死ライン 小学校は33%」、「超過密労働、教員悲鳴」、「「子のため」精神論限界」、「小学校英語/アクティブラーニング…現場に”宿題”教員重荷」、「部活動が勤務時間押し上げ 中学教諭、土日で倍増」
 朝日新聞=「過重な業務 教員悲鳴」、「中学の6割「過労死ライン」超え」、「授業増・部活「休みない」」、「増員や残業規制 検討を」
 読売新聞=「中学教諭58%過労死ライン 勤務平均 平日11時間超」、「脱ゆとりで授業増」、「「4か月で休み3日」部活顧問 過酷な勤務」、「「脱ゆとり」教諭に負担」、「多くが過労死ライン」、「授業準備や保護者対応…「どれも大切」」
 毎日新聞=「「休み月1ずっと忙しい」、「朝6時出勤、帰宅は夜8時」
 産経新聞=「教員「仕事際限ない」」、「過重労働調査 月の休み3日」
 日経新聞=「超勤週60時間超57%」、「中学教諭、部活の指導長く」、「教員の負担減急務」

 この間の教育改革や新法制定に伴う業務が増大する中で、学校現場の実感として「確実に超勤が増えている」との声を聞いていたのだが、それが裏付けられた。教育の質を確保する上でも、教員が心身ともに健康で働ける環境を確保することが大事であり、教員の過酷な勤務実態の抜本的な改善が急務になっている。

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451. 残業規制、教員は? [8.トピック]

 2017年4月4日付けの「内外教育」誌の「取材メモから インサイド」欄に「残業規制、教員は?」と題した記事が掲載された。

◇残業規制、教員は?
 「教員の時間外労働に歯止めを」。政府の働き方改革実現会議が定めた残業時間の上限規制が注目される中、日教組などは教員特有の勤務、給与制度の見直しを求めている。公立学校教員の給与に関するいわゆる「給特法」は、職業としての教員の特性を考慮し、時間外手当を支給しない代わりに、給与月額の4%相当額を「教職調整額」として一律支給する仕組みを定めている。ただこの4%は、1966年の勤務実態調査に基づき算定したもので、残業に換算するとわずか月8時間分。松野博一文部科学相も「当時と今の学校現場の先生の働き方は大きく変化している」と実態に合っていないことを認めているが、初等中等教育局の幹部によると、見直しのハードルは高いという。
 かつて中央教育審議会で教職調整額にめりはりを付けることが検討されたが、「内閣法制局にばっさり切られた」ことがある。一方で、時間外手当を設けるとなると多額の財源が必要。「これまでは給特法を見直すより、教員定数を増やしたり、少人数学級を推進したりするといった環境改善を優先してきた。なかなか答えが出ない話だ」とぼやいていた。

 この「内外教育」誌の記事なのだが、タイトルは「残業規制、教員は?」となっているにもかかわらず、もっぱら「給特法」の見直し、とりわけ「教職調整額」の仕組みに注目したものとなっており、どうにも違和感がある。それで、「教員に対する残業規制についてはどうなのか…」と。

 それで、2017年2月27日付けで日本教職員組合が行った緊急の「政策提言」を見ておく。提言は、2016年12月公表の「教職員の働き方改革と労働時間の実態に関する調査」の結果を踏まえてのものだ。パンフレットから提言内容を抜粋する。

教職員の過重労働や超過勤務を解消するための15の緊急提言
子どもの笑顔あふれる学校づくりは教職員の「生活時間」の確保から~
◇学校現場のワークルールの在り方に関する提言
提言1 民間労働者について時間外労働の上限規制を法制化した際には、教員にも該当規程を適用すること!
提言2 長時間労働を生んでいる教員の勤務時間法制である「給特法」の見直しに関する中教審審議を再開すること!
提言3 「労働時間適正把握ガイドライン」(2017年1月20日厚労省策定)を直ちに実効化し、法令等に沿った勤務時間管理の適正化をはかること!
(以下の提言は、省略)

 見てのとおり、先程の「内外教育」誌の記事で欠落していた「時間外労働の上限規制の教員への適用」を提言の第1番目に掲げている。これである意味、納得した。「内外教育」誌の記事では見えてこなかったが、日教組は、残業規制に対する見解を示していたのである。
 この構図は、高度プロフェッショナル制度の導入に向けた法案に対して「残業代ゼロ」法案と称して批判する場合とよく似ている。問題は労働時間規制なのに、「残業代ゼロ」と称することで賃金問題に論点がずれるのである。「内外教育」誌の記事もこれと同じで、大事なことは教員の健康被害を防止するための時間外労働の上限規制が確実に働くのかどうかが問題なのに、教職調整額という賃金問題に論点がずれているのである。それが違和感の理由であった。賃金制度をどうするのかは、労働時間規制をどうするのかという問題には、理論的には直接関係ないはずである。そこに混乱がある。
 その意味から言うと、長時間労働の是正の観点からは、提言1の内容を提言することは理解できる。しかし、提言2は直接関係ないのかもしれない。「給特法の見直しに関する中教審審議を再開する」ことの意味が、時間外勤務手当制度の導入に向けた検討をするということであれば、割増賃金の導入によって時間外労働縮減のインセンティブは働くのかもしれないが、提言1の時間外労働の上限規制の導入とセットでなければ効果は薄いだろう。しかし、教員にも時間外勤務手当制度を導入するということになれば、これはもうその働き方が大きく変わらざるを得なくなることを覚悟しなければならないのではないだろうか。教職調整額制度の前提であるところの、教員の自発的、創造的な活動に期待するという教員の職務と勤務態様の特殊性を否定することになるからだ。もちろん、私立学校や国立学校の制度は理解している。しかし、である。これは極めて難しい問題を孕んでいるのではないか…。
 例えば、教育基本法の第9条は「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。」と規定している。また、教育公務員特例法の第21条は「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。」と規定している。これらの法律の条文によって示されている教員の責務は、教職調整額制度が前提とする教員観と親和的だと思われるのだが、教員の勤務の在り方が変わるとなると、いったいどのように理解すればよいのか、などの疑問が生じる。

 いずれにしても、現実の教員の長時間労働の是正はまったなしである。制度をどのように構想すべきかについては色々意見があるだろうが、少なくとも、教員の健康被害を防止するための実効性ある規制が求められてしかるべきだと思う。


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450. 山下興家=「人事院月報」第22号 [49.「人事院月報」拾い読み]

 「人事院月報」第22号(昭和27年1月発行)のトップ記事は、人事官山下興家の『過去を顧みて 本年の歩むべき途を思う』と題した随想である。山下興家は、鉄道院を退官後、日本機械学会の会長となり、戦後、人事院設立とともに初代の人事官の一人となった人である。

 人事院が設立せられてからちょうど3年になる。その間いろいろな法律や人事院規則ができたが、結局それはおおむね皆基礎工事に過ぎない。今年はその基礎の上に新しい家を建設するのだという感じがする。しかるに世間にはその基礎だけを見て、大き過ぎるとか、国情に合わないとか、なかなかやかましい議論をする人がある。われわれから見れば、建設される予定の建造物は何の目的を持ち、またどのようなものであるかを知らないで、ただいたずらに議論されているようにしか見えない。…(1頁)

 当時は、辻清明が述べた対天皇官紀から対民衆官紀への転換が求められた時代、すなわち、民主化が求められた時代であった。

 民主化という言葉は全くはやりものになって至るところで使われている。しかし民主化の意味がハッキリ理解されているのであろうか。はなはだ疑わしいと思う。民主化の名の下にワガママ放題のことをして、上の命令を無視したり、また下のもののワガママを通さして、規律を厳格に実行し得なかったりする場合が少なくない。
 公務員の場合でも、口には国民の公僕だと称しながらその意味を理解しないでただ単に少しばかり腰を低くすればよいくらいに、安価に考えているものが少なくないようである。(1頁)

 人事官たる山下興家の嘆きは大きい。

 かつては天皇の忠僕として人民を指揮監督した官吏が、新憲法によって180度の転換をして国民の公僕となったのであるから、公務員の身分はここに180度の転換をすることが、わが国の民主化には何よりも急務であって、これなくしては新憲法の根本精神である民主化はただ単なる空念仏に終ることは疑う余地がない。
 特殊な学校の卒業生とか、あるいはまた高文の合格者が行政の上層部を独占して、その他の人々から昇進の機会を奪うような封建制度は一日も早く排除して、一切の公務員をその能力に応じて公平に昇進さす、すなわち機会均等な制度に切り替えるべきであって、これこそ真の意味における民主化である。
 俸給でも旧憲法の下においては天皇から与えられるものであったが、新憲法の下では公務員は国民の公僕として国民全体に奉仕するのであるから、納税者たる国民がその奉仕に報いるために支払うものがすなわち俸給である。それで俸給は奉仕の量に比例すべきものであって、公務員がどこの学校をかつで出たというったような過去の経歴に対して支払わるべきものではないのである。従来のごとく学校の経歴が一生を支配するようでは、家庭の事情などで立派な学校を出ることができなかった者は、世の中に出てから後どんなに勉強しても、またどんなに頭がよくても、昇進の途が断たれることとなって奮励努力する勇気が無くなってしまうこととなる。努力すればどこまでも進むことができるという希望があってこそ、それが各人の努力、それが各人の努力の源泉となるものであるにもかかわらず、この妙味が失われれば人々から希望を奪い去る結果となって、その人々にとってはもちろんであるが、国家としても計り知ることのできない大きな損失である。
すなわち民主化は人道上必要であると同時に国家全体の活動の源泉ともなり、広い意味での国民の能率増進となるのである。(1~2頁)

 戦前、国鉄の工場管理のトップとしてマネジメント力を発揮し、諸外国からも注目される成果を挙げた山下興家の根本理念が最後の段落に端的に示されている。
 この後、職階制の現過程、給与準則、新任用制度、終身職について、人事院での作業の状況報告も兼ねて山下の考えが述べられていく。

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449. 地公法及び自治法の改正案(その4) [46.臨時・非常勤教員]

 「地公法及び自治法の改正案(その2)」において、今回の地公法改正では臨時的任用厳格化を求めるものとなっており、国と同様に「常勤職員に欠員を生じた場合」に限定し、それ以外の場合を認めない改正内容となっていることとかかわって、次のように述べた。

「ということは、もし、現在、各都道府県で臨時的に任用されている常勤講師の中に「常勤職員に欠員を生じた場合」に該当しない者がいるとするならば、都道府県費負担にならないという事態になりそうな気がする…。」

 このことにかかわって、平成29年3月号の「地方公務員月報」に次のような記述が掲載された。「「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会報告書」に対する各地方公共団体からの意見等について」と題した記事中である。

「さらに、以下の三点について、地方公共団体から寄せられた質問に対し考え方を整理し、示しています。
 (略)
 第三に、「臨時的任用職員」についてです。
 改正法案では、フルタイムに限定するという趣旨から「常時勤務を要する職に欠員を生じた場合」という要件を付加していますが、これにより、臨時的任用が代替職員への対応に限られるということではなく、従来どおり、臨時に発生した業務等に臨時的任用職員を充てることができることを明示しています(ただし、臨時的任用については、パートタイムの任用はできません。)」

 以下に添付されている関係資料の13頁にも同趣旨の記述がある。

「 以上により、今回の改正でパートタイムの任用が制限され、フルタイムのみとなるものの、任用が可能な場合は、これまでどおり上記①から③までの場合(編注=①:緊急の場合、②:臨時の職に関する場合、③:採用候補者名簿や昇任候補者名簿がない場合)に変更はない。従って、臨時に発生した業務に対して臨時的任用職員を充てることは従来どおり認められるものである。」

 なんだ、従来どおりか…。どういう風に読めば「従来どおり」なのか、よく分からないのだが、都道府県負担にならないかもしれない…とか、心配することもないのかもしれない。

 ちなみに、分かる範囲で国家公務員の臨時的任用について確認しておきたい。
 まず、手始めに、人事院規則8-12(職員の任免)から、臨時的任用に係る規定を見ておく。

●人事院規則8-12(職員の任免)
(臨時的任用)
第三十九条 任命権者は、常勤官職に欠員を生じた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、現に職員でない者を臨時的に任用することができる。この場合において、第一号又は第二号に該当するときは、法第六十条第一項前段の人事院の承認があったものとみなす。
一 当該官職に採用、昇任、降任、転任又は配置換の方法により職員を任命するまでの間欠員にしておくことができない緊急の場合
二 当該官職が臨時的任用を行う日から一年に満たない期間内に廃止されることが予想される臨時のものである場合
三 当該官職に係る名簿がない場合又は当該官職に係る名簿において、当該官職を志望すると認められる採用候補者が五人に満たない場合

○運用通知(平21.3.18人企532)
第39条関係
2 この条の第1項第1号に該当する場合には、例えば、事故、災害等により突発的に生じた欠員を緊急に補充する必要がある場合で、採用、昇任、降任、転任、配置換又は併任の方法による補充が直ちには行えない客観的な事情があるときが含まれる。
3 この条の第1項第2号に該当する場合には、例えば、勤務時間法第20条に規定する介護休暇(1日を単位とするものに限る。)又は人事院規則15―14(職員の勤務時間、休日及び休暇)第22条第1項第6号若しくは第7号に規定する特別休暇(編注=産前・産後休暇)の承認を受けた職員の業務を処理することを職務とする官職で当該承認に係る期間を限度として置かれる臨時のものに臨時的任用を行う場合が含まれる。

 では、休職の場合は認められるのだろうか。
 この点について、手元にある逐条国家公務員法では詳しく書かれていなかったので、逐条地方公務員法を見た。臨時的任用に係る解説では特に注目すべき記述は見当たらなかったが、正式任用に係る第17条の解説に参考となる記述があった。(橋本勇「新版逐条地方公務員法第3次改訂版」)

「次に、任命が重複した場合が問題となる。本来、任命は欠員がある場合に行われるものであるから、任命が重複することはあり得ないのであるが、休職中の課長のポストに他の職員を任命する場合、あるいは分限免職が行われ、そのポストに他の職員が任命された後に当該免職の取消しが行われたような場合には重複任用の問題が生じる。前者については、国家公務員の場合は、休職者はその職を保有するものとしながら他の職員をその職に充てることはさしつかえないものとされており(人事院規則一一-四(職員の身分保障)四12)、制度的に重複任用が認められている。後者の場合は、やはり重複任用となるが、すみやかにいずれかの職員を配置換えすることにより、運用上解決すべきものである。」(247~248頁)

 補充の方法としては、正規職員を充てても、臨時的任用職員を充てても差し支えないと思われる。
 人事院規則11-4(職員の身分保障)の規定を確認しておく。

●人事院規則11-4(職員の身分保障)
(休職中の職員等の保有する官職)
第四条 休職中の職員は、休職にされた時占めていた官職又は休職中に異動した官職を保有するものとする。ただし、併任に係る官職については、この限りでない。
2 前項の規定は、当該官職を他の職員をもつて補充することを妨げるものではない。
3 第一項本文及び前項の規定は、専従休職者の保有する官職について準用する。

 休職の場合と同様に「当該官職を他の職員をもつて補充することを妨げるものではない。」とする例を拾ってみたら、国際機関等への派遣の場合(人事院規則18-0(職員の国際機関等への派遣)第5条第2項)、自己啓発等休業の場合(人事院規則25-0(職員の自己啓発等休業)第8条第2項)も同様の規定があった。
 個別の法律に基づく臨時的任用は、育児休業の場合(国家公務員育児休業法第7条第1項、地方公務員育児休業法第6条第1項)及び配偶者同行休業(国家公務員配偶者同行休業法第7条第1項、地方公務員法第26条の6第7項)がある。

 これら以外の場合については確認できなかったのだが、問題は、これら以外の場合について現に臨時的任用を行っている場合、果たして認められるのかどうかということになる。はじめに引用した「地方公務員月報」の記事では、「従来どおり、臨時に発生した業務等に臨時的任用職員を充てることができる」としており、そのとおりであることを今は期待したい。


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448. 働き方改革実行計画の決定 [8.トピック]

 3月28日、政府は「働き方改革実現会議」(議長・安倍首相)を開催し、同一労働同一賃金の実現や時間外労働への罰則付き上限規制の導入などを柱とした「働き方改革実行計画」をまとめた。政府は、秋の臨時国会に関連法案を提出し、2019年度からの施行を目指す方針とのことらしい。
 長時間労働の是正に関する労働基準法の改正の方向性については、連合と経団連による労使合意を踏まえた案が盛り込まれており、原則として、月45時間、かつ、年360時間として罰則を課し、特例として労使協定を結ぶ場合でも上回ることができない上限を年720時間(月平均60時間)とした上で、繁忙期でも、休日労働を含んで100時間未満を満たさなければならないなどの上限規制を導入する。
 気になるのは、この罰則付き時間外労働の上限規制の導入が公立学校の教員にどのような影響を及ぼすのかということだ。
 本文から関係部分を拾い読みしてみる。

4.罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正
(略)
(法改正の方向性)
 現行の時間外労働の規制では、いわゆる36協定で定める時間外労働の限度を厚生労働大臣の限度基準告示で定めている。ここでは、36協定で締結できる時間外労働の上限を、原則、月45 時間以内、かつ年360 時間以内と定めているが、罰則等による強制力がない上、臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して特別条項を設けることで、上限無く時間外労働が可能となっている。
 今回の法改正は、まさに、現行の限度基準告示を法律に格上げし、罰則による強制力を持たせるとともに、従来、上限無く時間外労働が可能となっていた臨時的な特別の事情がある場合として労使が合意した場合であっても、上回ることのできない上限を設定するものである。
すなわち、現行の告示を厳しくして、かつ、法律により強制力を持たせたものであり、厳しいものとなっている。(12~13頁)

 つまり、いわゆる「36協定」を前提とした仕組みになっている。ということは、給特法に基づき教職調整額制度が適用される結果、労基法36条の適用が空振りとなっている公立義務教育諸学校に勤務している教員には、政府で議論されている罰則付き時間外労働の上限規制についても、おそらく空振りとなるのではと思われる。公立学校の教員の時間外勤務については、限定4項目を除いて、命じることはできない制度となっており、この考え方を前提とする限り、今回決定された実行計画に基づき労基法が改正されたとしても、適用の余地がないように思われるのである。
 公務員や教員について、何も言及がないのか…、と思って読み進めていくと、本文中には何ら記述はなかったが、ロードマップの中に見つかった。(40頁)

項目3.長時間労働の是正
④ 法改正による時間外動労の上限規制の導入(その5)
(略)
【具体的な施策】
(公務員等の長時間労働対策)
• 国家公務員については、民間の制度改正を踏まえ、適切な公務運営の確保に配慮しつつ、より実効性ある対策を検討する。また、超過勤務を縮減する前提として、超過勤務を実施する際に、その理由・見込み時間等を上司が把握するなど、勤務時間の適切な管理を更に徹底する。さらに、年次休暇の取得促進に向けた取組を徹底する。
• 地方公務員については、時間外勤務縮減に係る先進的事例の積極的な収集・提供のほか、各地方公共団体が抱える課題の解決に資する意見交換の場の設置等を通じ、各団体の取組を支援する。
• 教員については、各教育委員会による学校現場の業務改善の取組を加速するための実践研究事業の実施や、運動部活動に関するガイドラインの策定・部活動指導員の活用を通じた部活動の適正化を行う。さらに、教員の働き方・業務の在り方等についての教育再生実行会議における検討を踏まえ、長時間労働を是正する。

 まあ、教員に関する記述については、現在の文部科学省の動きがそのまま書かれており、びっくりする内容ではない。具体的な年次の工程を見ると、教員については、2017年度に「教育再生実行会議において検討・提言」とあり、2018~2021年度に「教員の長時間勤務是正の取組を推進」とあり、2022年以降は「実施状況を踏まえて見直しを行いつつ、必要に応じて更なる取組の検討、実施」となっている。とりあえずは、教育再生実行会議での検討内容を注視しなければならないということになる。

 さあ、これから本当に教員の長時間労働の是正が進むのだろうか。しかし、いずれにしても、現時点では教職調整額制度の見直しについては検討の俎上に上っていないようである…。


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447. 地公法及び自治法の改正案(その3) [46.臨時・非常勤教員]

 フルタイムの会計年度任用職員に対しては、給料を支給しなければならず、そして、手当を支給することができることになる。しかも、自治法上は正式任用の常勤の職員と同様、何の限定もないから、地公法上の諸原則、平等取扱い原則をはじめ、情勢適応の原則、均衡の原則、職務給の原則を踏まえて条例で定めることになるはずである。

 この点、モデルになったと思われる国の期間業務職員に対する給与の現状はどうなっているのか。

 遠回りになるが、前提として、期間業務職員の法令上の位置づけを確認しておかなければならないだろう。
 人事院が公表している「期間業務職員制度の概要」を見てみる。

1.定義
 相当の期間任用される職員を就けるべき官職以外の官職である非常勤官職であって、1会計年度内に限って臨時的に置かれるもの(短時間勤務の官職その他人事院が定める官職(注)を除く。)に就けるために任用される職員
 (注)「人事院が定める官職」とは、その官職を占める職員の1週間当たりの勤務時間が、勤務時間法第5条第1項に規定する勤務時間の4分の3を超えない時間であるものである。

 定義は分かったが、このほかに、採用、任期、条件付採用期間、人事異動通知書、施行期日等は記載されているが、給与についての記載がない。
 期間業務職員は、国家公務員法第2条の規定を確認したが、特別職として掲げられていないので、一般職で間違いないだろう。
 期間業務職員の任免については、人事院規則八―一二(職員の任免)の第46条から第49条(非常勤職員の特例)が適用される。「期間業務職員」という用語も使用されている。第4条第13号に先ほど概要から引用した定義規定もある。

 さて、一般職ということなので、いわゆる一般職給与法の規定を確認する。

○一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)
(非常勤職員の給与)
第二十二条 (略)
2 前項に定める職員以外の常勤を要しない職員については、各庁の長は、常勤の職員の給与との権衡を考慮し、予算の範囲内で、給与を支給する。

 各省庁が決める給与を支給することになっている。ここで、人事院のガイドラインがでてくる。このガイドラインは、格差社会の解消が問題となる中、人事院が実施した調査によって、非常勤職員の給与について、同じ職務内容にありながら官署の違いにより差があることが判明したことから、平成20年8月に人事院総裁名で発出された。

○一般職の職員の給与に関する法律第22条第2項の非常勤職員に対する給与について(平成20年8月26日付け給実甲第1064号)
 一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)第22条第2項の非常勤職員に対する給与の支給について、下記のとおり指針を定めたので、これを踏まえて給与の適正な支給に努めてください。
 なお、これに伴い、給実甲第83号(非常勤職員に対する6月及び12月における給与の取扱いについて)は廃止します。

1 基本となる給与を、当該非常勤職員の職務と類似する職務に従事する常勤職員の属する職務の級(当該職務の級が2以上ある場合にあっては、それらのうち最下位の職務の級)の初号俸の俸給月額を基礎として、職務内容、在勤する地域及び職務経験等の要素を考慮して決定し、支給すること。
2 通勤手当に相当する給与を支給すること。
3 相当長期にわたって勤務する非常勤職員に対しては、期末手当に相当する給与を、勤務期間等を考慮の上支給するよう努めること。
4 各庁の長は、非常勤職員の給与に関し、前3項の規定の趣旨に沿った規程を整備すること。

 人事院のガイドラインは分かった。「常勤の職員の給与との権衡を考慮」という給与法に示された考え方を踏まえたものとなっているが、手当については、通勤手当及び期末手当以外の手当についての言及がない。

 平成28年9月、内閣官房内閣人事局が「国家公務員の非常勤職員に関する実態調査について(調査結果)」を公表している。
 この調査の対象となる職員は、平成28年4月1日時点で各府省に在籍する国家公務員の非常勤職員のうち、全ての期間業務職員と期間業務職員のうち、委員顧問参与等職員、任命期間が3か月以内の非常勤職員、勤務日数が少ない非常勤職員及び無休の非常勤職員以外の者である。
 長くなるが、給与関係の調査結果を全文引用しておく。

4 手当等
(1)「基本となる給与を決める際の考慮要素」(複数回答)
基本となる給与を決める際の考慮要素については、「職務内容」54,938人(98%)、「在勤する地域」53,904人(96%)、「職務経験(民間企業等における経験)」42,572人(76%)、「職務経験(非常勤職員としての勤務実績等)」38,314人(68%)、「学歴」18,007人(32%)、「責任の程度」3,958人(7%)、「同種の民間賃金」3,856人(7%)、「転勤の有無」41人(0.1%)、「その他」1,372人(2%)だった。
なお、考慮要素が複数ある場合もあるため、重複計上されている。
(2)「基本となる給与の上限」
基本となる給与に上限があるのは、55,861人(99.7%)だった。
(3)「期末手当に相当する給与の支給」
期末手当に相当する給与の支給については、一週間の勤務時間が常勤職員と同じ38時間45分の期間業務職員11,807人のうち、期末手当に相当する給与を支給する予定の職員は11,497人(97%)、一週間の勤務時間が常勤職員の3/4超38時間45分未満の期間業務職員18,622人のうち、期末手当に相当する給与を支給する予定の職員は2,080人(11%)、期間業務職員以外の非常勤職員25,590人のうち、期末手当に相当する給与を支給する予定の職員は2,200人(9%)だった。
また、期末手当に相当する給与を支給する基準については、勤務期間を基準とするもの6,307人(6月以上1年以内5,577人、6月未満730人)(11%)、特定の日に在職することを基準とするもの7,098人(13%)、その他の基準によるもの2,372人(4%)だった。
(4)「勤勉手当に相当する給与の支給」
勤勉手当に相当する給与の支給については、一週間の勤務時間が常勤職員と同じ38時間45分の期間業務職員11,807人のうち、勤勉手当に相当する給与を支給する予定の職員は9,166人(78%)、一週間の勤務時間が常勤職員の3/4超38時間45分未満の期間業務職員18,622人のうち、勤勉手当に相当する給与を支給する予定の職員は781人(4%)、期間業務職員以外の非常勤職員25,590人のうち、勤勉手当に相当する給与を支給する予定の職員は1,752人(7%)であった。
また、勤勉手当に相当する給与を支給する基準については、勤務期間を基準とするもの3,619人(6月以上1年以内3,443人、6月未満176人)(6%)、特定の日に在職することを基準とするもの6,319人(11%)、その他の基準によるもの1,761人(3%)だった。
(5)「通勤手当に相当する給与の支給」
通勤手当に相当する給与の支給については、当該給与の支給対象となる非常勤職員(※)には全員(54,240人)に支給予定であった。
※ 徒歩2km圏内に住んでいる場合等には、常勤職員と同様に通勤手当に相当する給与の支給対象外となる。
(6)「超過勤務手当に相当する給与の支給」
超過勤務手当に相当する給与の支給については、超過勤務が想定されていない非常勤職員を除き、全員(44,567人)に支給予定であった。
(7)「退職手当の支給」
退職手当の支給については、国家公務員退職手当法(昭和28年法律第182号)が適用される非常勤職員(※)には全員(11,714人)に支給予定であった。
※ 国家公務員退職手当法が適用されるのは、常勤職員について定められている勤務時間以上勤務した日が18日以上ある月が引き続いて6月を超える等の要件を満たした者である。
(8)「給与法改正に伴う対応」
給与を引き上げる旨の「一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)」等の改正が行われた場合、非常勤職員の基本となる給与や期末手当に相当する給与等の対応(想定)については、「公布後の翌月から改定」10,617人(19%)、「次年度4月から改定」6,988人(12%)、「その他の時期に改定」6,447人(12%)、「4月に遡及して改定」2,796人(5%)、「給与の種類により改定する時期は異なる」1,283人(2%)、「改定なし」27,888人(50%)だった。

 期間業務職員は、日々雇用の非常勤職員の任用・勤務形態を見直して設けられた制度であった。予算の制約もあり、一気に正規任用の職員のようにはいかないのだろう。
 この調査結果では、割合の数値にばかり目がいくのだが、例えば、日々雇用であった頃の日給扱いはどうなっているのか、その他の手当の支給状況はどうか、といったことまでは分からない。そこで、各省庁のッホームページから、期間業務職員を募集する要項で給与に関する記述を拾い読みしてみた。ざっとした印象でしかないが、基本給たる給与については、月給ではなく日給(給与日額)であった。しかも、給与に上下の幅がないものが大半であると思われる。手当に至っては、ほとんどが通勤手当と期末手当の支給のみであった。目についたところでは、環境省では、期間業務職員の給与について、「日給8,100円~9,580円(学歴・職歴等を考慮の上決定) その他 賞与、通勤手当、住居手当、扶養手当、超過勤務手当支給(当方規定による)、退職手当(国家公務員退職手当法の規定による)」としている。

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446. 地公法及び自治法の改正案(その2) [46.臨時・非常勤教員]

 今回は、この地公法及び自治法の改正に伴って、関係する法律の規定整備が行われるのだが、教職員に関わる部分を確認しておく。

 まず、市町村立学校職員給与負担法の一部改正。
 第1条中の「及び職務を行うために要する費用の弁償」を「、職務を行うために要する費用の弁償及び期末手当」に改めることとなっている。
 この条は、市(指定都市の除く。)町村立の義務教育諸学校の基幹的な職員に対する給料、手当及び旅費並びにいわゆる定数活用の非常勤講師に対する報酬及び費用弁償は、都道府県の負担とするものなのだが、今回の自治法改正によって、パートタイムの会計年度任用職員に対して期末手当の支給が可能とされたことから、定数活用の非常勤講師に対する期末手当についても、都道府県の負担となるように改正しようというになっている。

 次に給与に関わって出てくるのは、定通振興法と産業教育手当法である。
 これは、定時制通信教育手当及び産業教育手当の支給対象となる職員のうち講師については、現行では「常時勤務の者及び再任用短時間勤務職員」に限っていたのだが、今回これに地公法第22条の2第1項第2号の職員、すなわちフルタイムの会計年度任用職員を追加する案となっている。

 うん? 市町村立学校職員給与負担法の改正内容をもう一度見ておく。給料、手当及び旅費の支給対象である基幹的な職員のうち講師についての定義は、どうなっていたか…。
 「講師(常勤の者及び地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二十八条の五第一項に規定する短時間勤務の職を占める者に限る。)」のまま改正されず、フルタイムの会計年度任用職員を追加する案とはなっていない。従来、官吏又は吏員に相当する職員の給与等を都道府県の負担とするものであったのだから、その考え方を引き継いだということのようである。
 そうなると、微妙な問題が発生するのかもしれない。今回の地公法改正では、臨時的任用厳格化を求めるものとなっている。すなわち、国と同様に「常勤職員に欠員を生じた場合」という文言を挿入し、それ以外の場合を認めないというのである。
 昨年12月に取りまとめられた総務省の研究会による報告書「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会報告書」の記述では、「臨時的任用職員のうち、パートタイムで任用されている者は、一般職非常勤職員に移行する一方で、フルタイムで任用されている教員などは、必要な要件に該当する場合引き続き臨時的任用職員として任用されることも想定される。」とあるのだが、「必要な要件に該当する場合」との限定が付されていたのであった。
 ということは、もし、現在、各都道府県で臨時的に任用されている常勤講師の中に「常勤職員に欠員を生じた場合」に該当しない者がいるとするならば、都道府県費負担にならないという事態になりそうな気がする…。
 文部科学省は、各都道府県の任用実態を把握しているのだろうか…。

 次に、地教行法の一部改正の内容を見ていくと、県費負担教職員のうち非常勤講師の報酬等について都道府県の条例で定め、その身分取扱いについて都道府県の定めの適用があることを規定した第47条の3が削除されることとなっている。
 これは、現行では非常勤講師は特別職の非常勤であり、地公法が適用されなかったことから地教行法第42条の適用外であったのだが、今回の地公法改正により一般職の非常勤となったことによって地公法が適用されることとなるため、同条が適用されることになるということなのだろう。

○地方教育行政の組織及び運営に関する法律(抜粋)
(県費負担教職員の給与、勤務時間その他の勤務条件)
第四十二条 県費負担教職員の給与、勤務時間その他の勤務条件については、地方公務員法第二十四条第五項の規定により条例で定めるものとされている事項は、都道府県の条例で定める。

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445. 地公法及び自治法の改正案(その1) [46.臨時・非常勤教員]

 地方公務員の臨時・非常勤職員の適正な任用等を確保するための「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法案」が去る3月7日に閣議決定され、国会に提出された。
 法案の概要のペーパーによれば、一つには「地方公務員法の一部改正(適正な任用等を確保)」であり、特別職の任用及び臨時的任用を厳格化するとともに、一般職の非常勤職員の任用等に関する制度を明確化する、もう一つは、「地方自治法の一部改正(会計年度任用職員に対する給付を規定)」であり、一般職の非常勤職員として明確化された「会計年度任用職員」について、期末手当の支給が可能となるよう、給付に関する規定を整備する、となっている。

 教員給与学習ノートとしては、新たなカテゴリーとして明確化された「会計年度任用職員」の給与・報酬の給付体系がどのように規定されることとなったのか、確認しておきたい。

 まず、「会計年度任用職員」の定義を確認する。

<地方公務員法改正案>
(会計年度任用職員の採用の方法等)
第二十二条の二 次に掲げる職員(以下この条において「会計年度任用職員」という。)の採用は、第十七条の二第一項及び第二項の規定にかかわらず、競争試験又は選考によるものとする。
 一 一会計年度を超えない範囲内で置かれる非常勤の職(第二十八条の五第一項に規定する短時間勤務の職を除く。)(次号において「会計年度任用の職」という。)を占める職員であつて、その一週間当たりの通常の勤務時間が常時勤務を要する職を占める職員の一週間当たりの通常の勤務時間に比し短い時間であるもの
 二 会計年度任用の職を占める職員であつて、その一週間当たりの通常の勤務時間が常時勤務を要する職を占める職員の一週間当たりの通常の勤務時間と同一の時間であるもの

 つまり、「会計年度任用職員」には2種類の職員があり、ざっくりした表現をすれば、第22条の2第1項第1号の職員は、「会計年度内を任用期間とするパートタイムの職員」であり、第22条の2第1項第2号の職員は、「会計年度内を任用期間とするフルタイムの職員」であるということになろうか。

 次に、「会計年度任用職員」の給与・報酬の給付体系を確認する。

 地方自治法改正案を見ると、まず、「非常勤の職員に対し、報酬を支給しなければならない。」と規定する第203条の2について、第1項の「非常勤の職員(短時間勤務職員を除く。)」を「非常勤の職員(短時間勤務職員及び地方公務員法第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員を除く。)」に改正することとしている。つまり、地公法でいうところの非常勤の職員のうち、フルタイムの職員は自治法上の非常勤の職員から除くのである。
その上で、第4項を新設し、「普通地方公共団体は、条例で、第一項の者のうち地方公務員法第二十二条の二第一項第一号に掲げる職員に対し、期末手当を支給することができる。」としている。つまり、自治法上の非常勤の職員のうち労働者性が高いパートタイムの会計年度任用職員に対して、期末手当の支給が可能となるよう規定を整備したということである。

 そして、「常勤の職員及び短時間勤務職員に対し、給料及び旅費を支給しなければならない。」と規定する第204条を改正し、「地方公務員法第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員」を追加している。つまり、公法でいうところの非常勤の職員のうち、フルタイムの職員は自治法上の常勤の職員等のグループに含めたのである。
更に、フルタイムの会計年度任用職員も含めて同条第2項が適用されることとなり、退職手当を含めた手当の支給が可能となっている。

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444. 一般職非常勤職員への移行 [46.臨時・非常勤教員]

 昨年12月27日、総務省の有識者による研究会「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会」(座長:高橋法政大学法学部教授)が報告書を取りまとめた。
 政府が進める働き方改革の一つの柱である「同一労働同一賃金」の実現に向けた動きに呼応したものだと思うが、報告のポイントは、「特別職非常勤職員及び臨時的任用職員から一般職非常勤職員の新たな仕組みへの移行を進める」ことにある。
 概要ペーパーから「課題への対応」部分を抜粋する。

<任用上の課題への対応>
 ①特別職非常勤職員を「専門性の高い者等(委員・顧問等)」に限定
 ②成績主義の特例である臨時的任用職員を国と同様に、「常勤職員(フルタイム)の代替」に限定
 ③一般職非常勤職員の「採用方法・服務規律等の新たな仕組み」を明確化し、労働者性の高い非常勤職員は一般職非常勤として任用
<処遇上の課題への対応>
 一般職非常勤職員について期末手当などの手当の支給が可能な制度に見直し(給料・手当を支給できる給付体系に移行)

 次に、本文中、教員に関わって述べられている箇所を抜粋する。

 この結果、臨時的任用職員のうち、パートタイムで任用されている者は、一般職非常勤職員に移行する一方で、フルタイムで任用されている教員などは、必要な要件に該当する場合引き続き臨時的任用職員として任用されることも想定される。
 また、特別職非常勤職員から一般職非常勤職員への移行については、教員や保育士などの一定の資格を有する職員を含めて行われることとなる。このため、特別職非常勤職員としては委員、顧問などの専門性の高い者等のみが存続することとなり、それ以外の職員は全て一般職非常勤職員に区分されることとなる。(5~6頁)

 う~ん、これをどう理解するか…。
 一つは、いわゆる常勤講師については、「引き続き臨時的任用職員として任用されることも想定される」ということ。(任期付職員制度の活用への言及はない…。)
 もう一つは、非常勤講師については、「特別職非常勤職員から一般職非常勤職員へ」移行されるということか…。つまり、報酬ではなく、給料・手当を支給できる給付体系に移行するということのようだ。イメージとしては、国立大学の非常勤講師のようなものか…。

 立法的な対応か、あるいは、通知等による解釈の明確化かの両論併記だが、可能な限り立法的な対応を目指して検討すべき、としている。各自治体での対応も、条例・規則への位置付けが求められてくることになる。
 さて、どのように、どの程度のスピードで変わっていくのか、要注目。

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